淡い☆淡い思いで遊んだり、食べたりばかりしていた小学生でしたが、僕もちゃんと恋をしていました。硬派を気取っている割に惚れっぽくて、好きな女の子がコロコロ変わっていました。 小学4年生の頃、クラスに一人の女の子が転校して来ました。どことなくエキゾチック(子供にこういう表現は合わないですけど)な雰囲気を持っていて長い黒髪が印象的な子で僕は一目でその子が好きになってしまいました。大人になった今ならば軽くデートにでも誘って親密になるなど訳も無いのですが、当時の僕は硬派を気取っていましたので女の子と話す事さえあまりしません、 僕に出来た事はその子の家がすぐ傍にあったために他の女の子と遊んでいるのを見かける事が出来たので外に出る度にチラチラと様子を伺うくらいでした。惚 れっぽい僕がこの子の事を特に記憶に留めているのは普通の子と違ってものすごく積極的な女の子だったからです。 ある日一人で家でボーっとしてるとチャイムが鳴りました、外へ出てみるとナントその子が一人で立っているではありませんか!?その子が言うにはどうやら「ドラクエを 持って来たから一緒にやらないか?」との事でした、当時はドラゴンクエストが出て話題になり始めたばかりの頃でRPGゲームと言うものをまだ知らなかった 僕らが学校で「面白そうだね」と言っていたのを聞いたらしく、「お兄ちゃんが持っていたから借りてきた」との事でした。 小学校低学年以来、女の子と遊ぶ事なんてしてなかった僕が事態を理解出来ないでいる間にその子は僕の部屋に上がりドラクエの復活の呪文を入力して「お兄ちゃんのレベル30の勇者」を操り、あっという間に僕の前で竜王を倒してみせたのでした。そして「貸してあげるね」とドラクエを置いて家に帰っていったのでした、 ここまで来てもまさか、「その子も僕の事が好き」などと考えなかった僕はある日その子の仲の良い友達に話を持ちかけられました。どうやらその子が僕の事を好きらしいとの事でしたが、僕の心の中では嬉しさよりも「何で!?」と、理解出来ないでいました。率直にそう聞くと「やさしいから」との事で、そう言われて僕は正直「どこが?」、とさらに混乱してしまいました。 当時の僕は男尊女卑のガキ大将、女の子に嫌がられはしても「やさしい」などと言われるなどとは想像もしなかったことです。理由を聞くと、「その子が転校して間もない頃、逃げた飼い犬を一緒に探してくれたから」との事でそこで始めて「そういや、そんな事もあったな」と思うと同時に「そんな事くらいでやさしいって事になるのかな?」と疑問をぬぐい去れないでいました。 お互いに両思いって事が解ったとしても、それでどうするかなんて事が解らなかった僕は「嬉しい」と思いながらも告白したりする事が出来ずに仲の良 い友人たちと遊びながら、チラチラとその子が外で遊んでないか気にしたりするのが精一杯でした。その子の方は相変わらず積極的で、僕が学校を風邪で休んだ 時などはお見舞いにお菓子を持ってきてくれて、その包み紙の裏側には「好きです」とはっきり書いてあったのでした。 僕は「やっぱり本当に僕の事好きなんだ」と初めて奥歯がムズかゆくなるような幸福感と共に「やっぱり告白とかするのかな?」「好きだって言えばいいのかな?」と毎日のように悩みましたが結局実行する勇気を持つことは出来ませんでした。 そうこうしてるうちに転校して来て1年も経たないのにその子はまた別の場所に転校する事になってしまいました。当然ショックでしたが、仕方が無 い事でもあるのでクラスみんなで贈り物を作ろうと言う事になった時僕はせめて一生懸命心をこめて作ろうと思いました。その子の仲の良い友人も「ゆうクンか らの贈り物が一番嬉しいと思うよ」と言ってくれたので不器用ながらも精一杯の気持ちを込めて作ったつもりでしたがその子のクラス最後の日、いざ渡そうと言 う段になって担任の先生が「これから転校して行く子には荷物になるだろう!人の気持ちも少しは考えなさい!!」と、見事に僕らの前で処分してくれました。 最後は嫌な思い出になってしまいましたが、それでもエキゾチックで積極的で僕の事を「やさしい」と言ってくれた女の子の事は今でも僕の大切な思い出です。今でもたまに思い出して奥歯がかゆくなるような気持ちになる事があります。 |