あの頃の、男の子のはなし

あの頃の僕たちは好奇心とくすぐったい気持ちで出来ていました。 思春期の思い出を綴るエッセイです

男の子は女の子より、ヒーローがお好き☆ その3

 今回は「後楽園ゆうえんちで僕と握手できなかった」、と言う話です。

小学生も高学年ともなればアニメや漫画のキャラクターの技のマネはしても、ヒーローに憧れるなんて事は無いですが低学年時や幼稚園などの時はそれはもう頻繁にヒーローごっこをします。今の子供たちはわかりませんが僕たちの時は宇宙から来たでっかい兄弟刑事とか言いながら捜査をまったくしない宇宙公務員敵に改造されながらも強く生きる人色分けされた5人組とかとかく燃えるヒーローには困らない世代でした。

ヒーローごっことは言ってももちろんみんながヒーロー役をやりたいがために自然と戦隊モノのごっこが多くなります、この場合敵役はいなくてそれぞれが自分の好きな色の人のポーズなどをとり「とぉっ」とか言ったり技の名前を叫んだりするのです、今になって冷静に考えれば何が楽しいのか不思議でなりませんが、とにかく僕の好きな色の人は青とか黒とかいった渋めとかクールとか言った感じの人でした。えばりんぼうでおっちょこちょいのクセに赤とか黄色とかの人をあまり好きではないめんどくさい子供でありました。

そしてヒーローと言えば「後楽園ゆうえんちで僕と握手!」です、関東ローカルなのかも知れませんがとりあえずそう言う事にして話を続けます。

これは母親から聞いた話です、僕が幼稚園の頃後楽園ゆうえんちに当時僕が大好きだったヒーローのショーを見に行きました。小学生低学年くらいに もなれば「あれはニセモノ」と区別がつくのでしょうが幼稚園くらいだと本物でもニセモノでもたいした差は感じられないものだと思います。

ヒーローショーの一応の流れはまず、進行役のお姉さんが出てきて話をしていると悪者が出てきてお姉さんの邪魔をし、そこでお姉さんの掛け声と共に ヒーローをみんなで呼んで、ヒーローを応援して無事ヒーローが勝ったあとは行儀良く並んでヒーローと握手してもらったりサインをもらったりするのです。

僕には記憶に無いのですが、おそらくヒーローと握手出来たりサインをもらえるなどと言うのは子供にとってはものすごく嬉しい事なのだと思います、僕の母親も大変僕がそれを楽しみにしていたと言っています。

しかし、僕はヒーローと握手する事は出来ませんでした。

悪者が出て来た時点で逃げたのです。

母親が僕に話した事を要約すると、僕と両親はショーを最初座席の前方でショーが始まるの楽しみにしていました。

ショーが始まり、お姉さんが出てきて進行をしている時、悪者たちが出てきてお姉さんを妨害すると共に事もあろうにショーを盛り上げるために前列の子供たちを脅かしにやって来たの です。そして、僕は泣きながら悪者たちから逃げて、ヒーローショーが終わるまで最後列の座席の陰に隠れていたのだそうです。結局僕はヒーローショーをほと んど見ず、握手も出来なかった、と言う事です。さすがにわが子が哀れ、と思ったのか両親が並びサインだけはもらってくれたようですが、幼さ故かショックの ためか知りませんが僕はこの事をまったく覚えていません

今後、成長するに連れてえばりんぼうになり、「~なんて軟弱だ」なんてアナクロな価値観を持つようになる僕は本来すごく臆病者なのだな、とこの話でよくわかります。今でも臆病な自分とえばりんぼうな自分が同居しており、上手く折り合いをつけるのに苦労していますが「しょうがないか」と、他人事のように諦めています。