あの頃の、男の子のはなし

あの頃の僕たちは好奇心とくすぐったい気持ちで出来ていました。 思春期の思い出を綴るエッセイです

崖のぼりで後へ退けなくなって

 中学を卒業して高校に入る前の春休みのことです、親しい友人3人と海に釣りに出かけました

数時間経っても全然釣れないので段々みんな飽きてきます、するとそのうちみんな竿を置いて磯をウロウロし始めてその内誰かが近くの10mくらいの崖を登り始めました。

「危なくない?」と口々に他のみんなが言うと2mくらい登って降りてきた友人が
「それほど高くないよ、ゆうも登ってみ?」と言うので登ってみます、感触としてそれほど急な斜面ではなかったので 「登れそうかも」と答えます。すると友人が 「一番上まで登ってみようぜ」といいました。

正直、「それはさすがに危ないんじゃ、、、」と思い他の2人を見てみると明らかに不安そうな顔をしています。しかし思春期の男の子にとって「怖い」なんて言葉は簡単に言えるものでは無く、そのままなし崩しにみんなで崖を登り始めました。

当たり前の話で登りかけの数mは余裕で登れたのですが4mを越したあたりでだんだん登りづらくなる感じがしてきます、それでも7m近く登って来てふと下を見ると地面がはるか遠くに見えるではありませんか!! (ちなみに10mだとビルの3~4階くらいです) 下は磯の硬い地面、「落ちたら死ぬな」と自分のアホさを悔やんでも今更後には退けません、先の登っている友人が落とす(わざとじゃなく)砂や石が目に入らないようにしながらなんとか全員崖を登りきるとそこは植物園になっていました。

のんびり植物を見る気は無いですが他に道がないため柵を越えて植物園の中へ、すると植物園のお客さんらしき老夫婦が僕らを見つけて 「なんだ僕たち、土だらけじゃないか」 と言ってきました。みんなを見渡すと確かに服や顔に土がいっぱいついていて確かに尋常な感じではありませんでしたが誰も何もいわず 「喉が渇いた」と自動販売機でポカリスエットを買って飲んで植物園の出口を通って磯まで戻りました。

この時結局最後まで誰も「怖かった」と言わなかったのですが高校に上がってから友人達に会うとみんな口々に「あんときゃ死ぬかと思ったな」と言いました。

この時の友人達の中の1人とは今でもたまに釣りに行き、二人酒を飲みながらぼ~っと
「人生ってなんだろ?」
「死ねばわかるっしょ」
「死んだらわかんないだろ?」
「俺に聞くなよ!」
なんて会話をします、相変わらず魚は全然釣れません(笑)

最後に人間10mの高さから落ちたらほぼ死にます、絶対にマネしないでください。あとお金を払わずに植物園に入ってごめんなさい。反省してます。